【過失運転致死】ご遺族から嘆願書 執行猶予

相談内容

 Aさんは,友人宅へ行くために自動車を運転中,車線変更をした際に,前方にいるバイクに気づかずに追突してしまいました。バイクの運転手の方は,運ばれた病院で,間もなく死亡が確認されました。

 Aさんは,今後の刑事手続きのことが心配で,弁護士のもとに相談に訪れました。

弁護士の活動

 Aさんは,逮捕されることなく,在宅での捜査が始まりました。
 取調べの際には,供述調書が作成され,警察官に話した内容が記録され,証拠になってしまいます。記憶が曖昧なことを聞かれたり,自分の言った内容がきちんと反映されていないこともあります。そこで,弁護士は,Aさんに取調べ時の注意点を伝えて,Aさんには,取調べに臨んでもらいました。

 死亡という重大な結果が生じているため,過失運転致死事件では,検察官が公判請求をすることが通常であり,Aさんの事件も刑事裁判が始まりました。
 Aさんは,自動車の任意保険に入っていましたので,弁護士は,Aさんの保険会社の担当者から聞き取った内容を証拠にして,示談状況を裁判所に報告しました。
 また,弁護士から被害者の方のご遺族の方に連絡を取ったところ,寛大にもAさんへの厳しい処罰は望まないというお考えだったため,嘆願書を作成していただき,これも証拠として裁判所に提出しました。

 さらに,Aさんの家族に情状証人に立ってもらい,事故後のAさんが反省している様子や今後の監督について,お話しいただきました。

結果

 Aさんに対して,執行猶予付きの判決が言い渡されました。Aさんは,これまで通りの生活が送れるようになりました。

 交通事故に関する刑事裁判のなかでは,任意保険等により被害者に対して,賠償されるか否かが,刑を決めるうえで,重要な情状です。重大な結果を生じる交通事故の場合,刑事裁判が終わるまでに,任意保険会社による賠償が終わっていないこともあります。本件では,任意保険会社による被害者遺族との話合いの状況や今後の見込みについて,任意保険会社担当者から説明を受け,弁護士から裁判所に報告しました。