【建造物侵入】準抗告により早期釈放・示談成立・不起訴処分

相談内容

 Aさんが逮捕されたと,Aさんの家族に,警察署から連絡があり,Aさんの家族が弁護士のもとに相談にいらっしゃいました。
 Aさんが建造物侵入をしてしまったということしか,知らされておらず,Aさんのご家族は,大変不安がっておりました。

 Aさんのご家族から依頼を受けた弁護士は,すぐに,Aさんが留置されている警察署に接見にうかがいました。 

弁護士の活動

 弁護士がAさんのもとに接見に行き,事情を聴きましたが,飲酒の影響でほとんど記憶がないとのことでした。警察からは,居酒屋の事務所に侵入したところを,居酒屋の店員が見つけ,現行犯逮捕されたと聞いたとのことでした。

 Aさんに記憶がないものの,居酒屋の店員がAさんが侵入しているところを現認していることから,積極的に事実関係を争うのではなく,被害店舗に謝罪・示談をするという,弁護方針をAさんと話して決めました。

 この時点で,すでにAさんには,勾留決定がされていたことから,弁護士は,すぐに勾留決定に対する準抗告の申立てをし,Aさんの早期釈放を目指す弁護活動も始めました。この準抗告とは,一度決まってしまった勾留決定に対して,再度,判断し直すことを求める,不服申立てです。
 準抗告の申立には,被疑者を釈放しても,逃亡や罪証隠滅をする具体的なおそれがないことを示すことが重要です。そこで,弁護士は,Aさんには,逃亡をせずに,捜査や被害弁償に協力するという誓約書,Aさんの家族には身元引受書を作成してもらいました。また,Aさんと共に,事件当日の途中まで飲酒をしていたAさんの友人からも,この事件が終わるまで,Aさんと連絡を取らないことを誓約してもらいました。これは,事件の経緯に関して,Aさんの友人にも警察が聴き取りをする可能性が高いため,警察に口裏合わせと言われないように,事件が続く間,連絡は取らないことを依頼したもので,弁護士とAさんの友人とのやり取りも準抗告の資料にしました。

 その結果,準抗告の申立てが認められ,Aさんは,釈放されることになりました。

 その後,弁護士から被害店舗に連絡をして,示談交渉も行い,5万円で示談が成立しました。

結果

 その後間もなく,Aさんは,不起訴処分になりました。
 また,早期に釈放されたこともあり,それまで,正社員として勤めていた勤務先も,解雇などされることなく,すぐに事件前と同じ生活を送れることになりました。

 逮捕後の早期釈放のためには,逃亡や罪証隠滅の具体的なおそれがないことを検察官や裁判官に伝えることが重要です。どのような事情が重要であるか,そのような事情を裏付ける資料の作成や収集を弁護士が行うことで,早期釈放される可能性が高まります。