骨折治療中の全期間に及ぶ慰謝料を獲得(争点・傷害慰謝料,主婦休業損害)

事故状況

 Aさんが自転車に乗って,車道の左側を走行していたところ,後方から来た自動車に追突されました。

 Aさんは転倒し,骨折などの重傷を負いました。

弁護士の活動

 Aさんは,骨折の重傷を負っていましたので,完治するまでに,約1年4か月を要しました。

 治療終了後,弁護士は,相手方保険会社との示談交渉を始めましたが,当初,保険会社からは,Aさんが治療を要した1年4か月間分に相当する慰謝料ではなく,Aさんが通院した日数の3.5倍の日数に相当する慰謝料のみを提案してきました。

 たしかに,通院期間に比べて,通院頻度が少ない場合には,通院期間ではなく,通院した日数の3倍や3.5倍をベースにした慰謝料のみが認められるという考え方もあります。

 しかし,Aさんのような骨折の場合,通院頻度がまばらになりやすい一方で,安静にしていることが治癒につながるものです。

 そこで,Aさんの通院した日数の少ないのは,Aさんの症状が軽いからではないことや,医師の指示に基づき通院,治療を継続してきたことを主張したところ,本来の通院期間を基準にした傷害慰謝料を獲得することができました。

 また,Aさんは主婦であり,骨折などの怪我のせいで家事にも支障が生じました。
 Aさんの休業損害についても,保険会社とは金額の争いが生じましたが,最終的には,Aさんが納得できる金額で示談することができました。

弁護士のコメント

 怪我をしたことの慰謝料(傷害慰謝料)は,通院期間を基準として金額を算定することが一般的ですので,通院期間が長い方が傷害慰謝料は増える傾向にあります。(ただし,症状固定後の治療期間は,傷害慰謝料を算定するための期間には,含まれませんので,この点は注意が必要です。)

 したがって,通院日数が少ない場合,その3倍や3.5倍を通院期間としてみなされてしまうと,実際の治療期間を基準に算定した場合に比べて,慰謝料が減ってしまいます。

 そこで,本件では,通院日数の3.5倍の期間ではなく,本来の治療期間を基準として傷害慰謝料を算定すべきことを主張しました。