【窃盗】勤務先の金庫から現金窃取 示談成立・立件なし

事件の内容

 Aさんは,勤めている会社内の金庫から,数回に渡り,お金を盗ってしまいました。

 しばらくして,Aさんは,金庫内の現金が少ないことに気付いた社長から,聴き取りを受け,自身の行為を正直に話しました。

 もっとも,社長からは,Aさんが実際に窃取した金額よりも多い金額を窃取したのではないかと疑われたり,その他に会社に生じた損害も支払うよう求められました。

 Aさんは,会社との今後の対応が不安になり,法律相談に来られました。

弁護士の活動

 まず,弁護士は,会社に対し,Aさんの代理人になったことを伝え,話合いの窓口を弁護士に移しました。

 間もなく会社から弁護士に,損害賠償請求の通知書面が届きましたが,その金額は,Aさんが窃取した金額を大きく上回るものでした。

 弁護士は,会社に対し,Aさんは自身の行為により会社に与えた損害について真摯に賠償する考えであることを伝えたうえで,会社が請求する損害を示す資料を開示いただけないかと依頼をしました。

 その後,会社から資料の開示や返答がなかったため,再度,弁護士から会社に連絡したところ,Aさん側から金額の提案があれば,和解での解決を検討するとの回答がありました。

 そのうえで,弁護士はAさんと相談し,自身の行為により会社に与えた迷惑や謝罪の気持ちなどを考慮し,示談金を提案したところ,その内容で無事に示談が成立しました。

結果

 示談が成立した金額は,当初,会社が損害賠償請求をしてきた額の5分の1未満になりました。

 勤務先で窃盗や横領等の行為をしてしまった場合,会社の代表者や上司など目上の人からの聴取を受けたり,賠償のやり取りをしなくてはいけないことが多いです。そのなかで,自身の行為の後ろめたさもあり,本来の自分の責任以上の賠償等の負担に応じなくてはならないと考えてしまいがちですが,一度,支払を約束してしまうと,後日これを覆すことは,非常に困難です。

 会社での犯罪行為で,会社とのやり取りに不安がある場合には,一度,弁護士に相談することをお勧めします。