【窃盗】ATMで不正出金 示談・保釈許可・執行猶予

事件概要

 Aさんは,ホームペルパーとして,介護が必要な方の自宅に訪問し,身の回りの世話を行う,仕事をしていました。

 Aさんは,訪問先から,顧客のキャッシュカードを窃取し,ATMで預金を引き出すという窃盗行為を,10回以上に渡り,行っていました。被害金額は,約100万円に及んでいました。

 不正な出金に気づいた,顧客の家族が警察署に被害申告したことにより,Aさんは,逮捕されました。

弁護士の活動

 弁護士は,検察官に連絡し,被害者の方に被害弁償をしたい旨伝え,被害者の方の了承を得て,被害者の連絡先を把握することができました。

 そして,弁護士から被害者側に連絡をし,示談の話合いを開始しました。
 まず,Aさんが謝罪の気持ちを伝えたいという意向を持っていましたので,被害者の了承を得たうえで,Aさんが作成した謝罪文を被害者の方に送りました。また,Aさんが窃取した金額に,慰謝料を加えた金額を示談金として提案しました。
 被害者の方にご検討いただいたうえ,間もなく,示談を成立させることができました。

 弁護士としては,検察官が起訴するかの処分を下す前に,被害者との示談を成立させることができれば,示談成立という,被疑者に有利な事情を踏まえて,検察官に,処分を判断してもらえます。
 本件でも,迅速に示談交渉を行い,検察官の処分前に,被害者との間で示談を成立させることができました。

 もっとも,本件では,被害金額が少なくないことなどから,Aさんは起訴されました。

 弁護士は,起訴されることも見据え,起訴後すぐに,保釈請求できるよう,準備を進めていました。
 本件では,Aさんが,被害者の自宅住所を知っているなどの不利な事情もありましたが,起訴後,間もなく,弁護士が行った保釈請求が許可され,Aさんは釈放されました。

 公判においても,Aさんの家族に,情状証人として,法廷に来ていただき,証言してもらいました。

結果

 Aさんに対しては,執行猶予付きの判決が言い渡されました。

 被害者がいらっしゃる事件の場合は,被害者の方に被害弁償をし,示談の成立を目指すことが重要です。
 また,本件のように,起訴される可能性がある場合は,起訴後,すぐに保釈請求できるよう準備することで,仮に,起訴された場合にも,早期に,保釈許可を得ることができ,いち早く,釈放を実現できます。