休業損害の支払が打切られるも,最終的に全額の休業損害を獲得(争点・休業損害等)

事故状況

 Aさんが,車に乗り,交差点で右折待機中,対向車線を走行してきた相手方車両が,センターラインをオーバーしてきたため,Aさんの車両に衝突しました。

 Aさんは,頸椎捻挫(むち打ち)等の傷害を負い,治療を開始しました。
 Aさんは,運転手の仕事をしているため,怪我がある状態では,安全に運転できないことから,仕事は休まざるを得なくなりました。

 相手方保険会社は,当初,毎月,休業損害の支払いをしてくれていたものの,その後,保険会社から,休業損害の支払いを打切ると言われ,法律相談に来ました。

弁護士の活動

 弁護士から,Aさんの症状や医師の見解を伝え,休業損害の支払継続を求めて,保険会社と交渉をしました。
 保険会社は,休業損害の支払打切りの意向を変えなかったため,Aさんの休業補償を確保する必要が生じました。

 そこで,今回の事故が,Aさんの勤務中の事故であったことから,Aさんと協議し,労災の申請をすることにしました。

 これにより,Aさんは,ひとまず休業補償が得られるようになったため,安心して,治療を継続することができました。

 Aさんは,症状固定の時期を迎え,症状が残存していたため,後遺障害の認定手続きを進めることにしました。弁護士から,Aさんを通じて,主治医の先生に,後遺障害診断書に記載すべき内容をお伝えし,後遺障害認定手続きを行ったところ,14級に認定されました。

 その後,弁護士は,保険会社と賠償額の交渉をし,傷害慰謝料,後遺障害慰謝料,逸失利益について,Aさんが満足する金額で示談することができました。
 また,休業損害についても,保険会社が支払を打ち切った以降の時期も,主治医が,「休業による療養が相当である。」と診断した,労災の申請書を根拠資料として,保険会社と交渉をしました。すると,当初は,保険会社は,支払を否認してきたものの,粘り強く交渉し,最終的に,Aさんが休業した全期間の賠償が認められました。

弁護士のコメント

 保険会社と間で,症状固定時期や,休業損害が認められる期間について,争いが生じる場合があります。
 そのよう場合でも,当時の症状を詳細に医師に伝え,医療記録に残しておくことで,後日,有利な証拠になる場合があります。

 保険会社との賠償額交渉では,保険会社が支払を打ち切った以降の休業損害分の金額は,支払が認められないことが多いです。しかし,本件では,保険会社が打ち切った以降を含め,全期間の休業損害の支払いを得ることができました。